ドル円市況の1時間ごとの市況変動の特徴を調べてみました。添付図には1時間だけドル買い円売りを毎日1ドル分だけ行った場合の累積損益額を表示しました。この図の中で「1」は、0:00~1:00の間ドルのエクスポ―ジャを持った場合の累積損益額、「2」は1:00~2:00の間のドル投資の累積損益額、、、、を示しています。
この図から分かることは、0:00~1:00の間のドル投資のプラスが比較的大きいことです。これはアノマリーなのでしょうか? この時間帯はロンドンとニューヨークの取引時間帯に当たると思いますし、ロンドンFixingに向けた取引需要の偏りなども影響しているのかもしれませんが、本当の原因は良く分かりませんし、これが永続するのかどうかも良く分かりません。
ただ、この市況変動の歪みを利用して収益を得るのはそれなりにハードルが高いとも思います。約10年間で40円強の利益となるので、1年あたり4円、1日当たり2銭程度です。為替売買に片道1銭かかってしまうのであれば、すべて売買コストで費やされてしまうことになります。
ROE1分位かつ、PBR5分位の銘柄群のパフォーマンスが遂に1位に躍り出た。主に電力株や海運株などで構成されるので、それほどワクワクする銘柄群とは言えないが、こうした銘柄群の方が株価パフォーマンスは優れているのか??
日本株をROE3分位およびPBR5分位でクロスセクションで分類し、その2つの軸で銘柄分類を行いポートフォリオを作成した場合の株価パフォーマンス。
直観的に言えば、ROEが高く(= ROE1分位)、かつ、PBRが低い(= PBR5分位)の銘柄群のパフォーマンスが高くなりそうな気がする。これを確認するために10月から1週間ごとに銘柄入れ替えを行った場合のパフォーマンスの計測を開始。いまのところは確かにそうした予想通りの結果になっている。(図中の15のパフォーマンス)
でも、
この15ポートリオを構成する銘柄群を見てみると、足元では電力株と海運株だらけ。これで本当に市場をアウトパフォームできるのだろうか??
米国株(ダウ工業株指数採用銘柄)について、PEGレシオ2倍以下の銘柄のみを投資対象とし、その銘柄の中でROE水準による5分位に分けた分位別の運用パフォーマンスを分析してみた。図7がその分析結果であるが、ROE水準が高い第1分位や第2分位の銘柄群が高いパフォーマンスを示している。この銘柄群の中では、ROEによる銘柄選定が有効に機能する可能性がある。
米国株について、ROE水準のみを基にした銘柄選定を行うケースを検討した。ユニバースとしてはダウ工業株指数採用の30銘柄であるが、これをROE水準によって5分位に分け、その投資成果をバックテストした。結果は図4に示したが、この銘柄選定基準はあまり有効性が高いとは言い難い。ROE水準の高い第1分位銘柄の株価パフォーマンスは相対的に高くなっているものの、ROE水準の低い第5分位の銘柄の株価パフォーマンスは第1分位銘柄以上の株価パフォーマンスを示している。このパフォーマンスは解釈が難しい。このことから、「ROE水準を基にした銘柄選択」はそのままではあまり有効な手法とは言えないと考えている。
吉野(2023)によれば、PEGレシオは経験的には1倍を下回ると割安、2倍を上回ると割高の警戒水準ともされている。では、PEGレシオ2倍以下の株価パフォーマンスは、2倍以上の株価パフォーマンスより優れているのだろうか? このような疑問を検証するために、米国株(ダウ平均採用30銘柄)について、PEGレシオ別のパフォーマンスを確認した。ユニバース銘柄は足下時点の指数採用30銘柄とし、各年末でそれぞれの銘柄PEGレシオを切り上げて、PEGレシオごとの1年間の株価パフォーマンスをつなげてみた(その際、PEG5倍以上はまとめて、PEG5倍とした)。 検証の結果、PEG1倍以上2倍以下の銘柄のパフォーマンスが高いことが判明。これまで「経験的に」言われていたことの正しさが確認できた。ただ、PEG5倍以上の銘柄の株価パフォーマンスもかなり高いので、更なる分析のネタになりそうだ。
ダウ工業株30種平均指数のPBR・ROEの関係を見ると、両者には相関関係がみられる。高ROE銘柄は高いPBRで評価されるという解釈が妥当なのだろう。 そうであれば、PBRとROE水準を比較して割安株を発掘できそうな気がするのだが、これがなかなかうまくいかない。何故だろう? それにしても、米国株のROEやPBR水準の高さは驚異的だ。日本企業のROE水準を見慣れていると、「米国株はバブルなのではなかろうか?」とも思ってしまう水準で少し怖い。。。。
株式市場における株価形成を観察すると、株価バリュエーション(PBR)と「資本の内部成長率+配当利回り」の関係は必ずしも高くない。これは、配当利回り(DY)がPBRと負の関係になっているためである。つまり、PBRの変動が原因となりDY水準を決めるという因果関係にあり、株高ならばDYが下がり、株安ならDYが上昇する関係にある。このことから、DY水準に影響される内部成長率を説明変数に使ってPBRを推定するという方法は有効性が劣る可能性がある。株式市場で銘柄選択を行う場合は、内部成長率を用いるよりも、ROE水準を用いた方が好ましいものと考えられる。
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株式の「期待リターン」÷PBRで、期待リターン利回りを計算できる? これを長期金利と比較すれば、株式プレミアムを計算できる? その株式プレミアムを国際比較すればAA戦略を立てられるのでは?
長期的な株式リターンの源泉は株主資本の成長と配当というサプライサイドからのファンダメンタル要因がほぼすべてであり、PBRのようなバリュエーション変化による株価変動の期待値はゼロであるとされている。一方で、株価変動のリスクについてはファンダメンタル要因の影響度は非常に小さく、ほぼ全てがバリュエーション変動要因の影響である。高いPBR水準で評価されている銘柄は市場からの期待が大きい分、将来的な株価下落リスクも大きいと言える。また、株式の期待リターンはROEと強い関係があり、次式のような関係式で表すことが出来る: 期待リターン=ROE+DY(1-PBR) このため、期待リターンとPBRの間にも強い相関関係が存在する。直近2024年10月4日現在の株式市場における各銘柄のPBRと期待リターンの関係を散布図に描くと図のようになる。これらの銘柄の中で、期待リターンが高く、かつ、PBRが低い銘柄を選定することが理論的には有利と考えられる。