月齢サイクル

 

月の満ち欠けは人間の感情に影響を与えると太古から言われてきている。こうした言い伝えを基に、いくつかの先行研究がなされ、月の満ち欠けと人間行動との関係が主張されている。

 Dichev(2001)では、世界25ヶ国の長期データを利用して月齢サイクルと株価騰落率の関係を分析した。この結果、米国市場においては、新月±3日間の株価リターンが満月±3日間の株価リターンと比較して年率58%上回る(「新月効果」)ことが明らかになった。米国以外の市場では格差がさらに大きく、両者の違いは710%にのぼる

月齢戦略における中期サイクルの利用
株式市況には一定の周期性が存在するが、中にはその原因が明瞭でないものもある。そうした現象は堅牢性が低く、今後の継続性には疑問が持たれる場合が多いが、単に我々がその原因を発見できていないだけという可能性もある。このような原因の明瞭でない現象の1つとして、ブラジル株市況における月齢戦略の4ヵ月サイクルがある。
136-月齢戦略における中期サイクルの利用.pdf
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経済環境及び季節変動に伴う月齢効果の変化
株価パフォーマンスは一般に、経済環境が良好であれば高くなる傾向が見られる反面、経済環境悪化時には低くなる。また、冬には株価パフォーマンスが高くなる一方で、夏には低くなりやすい。こうした株価パフォーマンスの違いは投資家の不安心理の変化の影響が大きいと考えられる。したがって、株式市場で観察される月齢効果もそれぞれの環境下で別々に分析することが望ましい。経済環境および季節を考慮した形で月齢効果の分析を行ったところ、月齢効果には局面毎の顕著な相違がみられた。また、こうした分析結果を利用することで運用成果が高まる可能性があることも明らかとなった。
105-経済環境及び季節変動に伴う月齢効果の変化.pdf
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月齢効果の精密計算による運用成果の向上検討
株価騰落率には、月齢サイクルに伴う周期的な変動が見られる。こうした「月齢効果」を分析するにあたり、従来は簡易的な月齢計算方法を用いることが多かった。しかしながら月齢を精密に算出した上で株価騰落率の集計・分を行えば、月齢効果が従来以上に顕著に観察され、利用価値も大きくなる可能性が高い。本稿の分析の結果、月齢計算を精密化することで月齢効果を利用した運用戦略の投資成果が高まることが確認された。
104ー月齢効果の精密計算による運用成果の向上検討.pdf
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経済状況の変化に伴う株価騰落率の相転移
経済環境は株式市況に2つの面から大きな影響を及ぼしている。1つは株価水準に対する影響であり、もう1つは株価変動の安定性に対する影響である。株価水準については、好景気であれば株価は高く評価されやすい反面、不景気であれば低く評価されやすい。一方で、株価変動の安定性については、好景気であれば株価変動は安定的となりやすい反面、不景気であれば不安定になりやすい。本稿では、経済指標が一定の値を超えると、株式市況の動きが劇的に変化する状況を相転移と捉え、株価安定相と不安定相に分けたうえで、月齢効果を分析することの有効性を証明する。
103-経済状況の変化に伴う株価騰落率の相転移.pdf
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月齢効果に対するエルニーニョの影響
本年から来年にかけて、非常に強いエルニーニョの発生が予想されている。このエルニーニョが起こる期間は、株式市場における月齢効果が強まる傾向が見られる。エルニーニョとは、太平洋赤道付近の海域で水温が高くなる現象であり、世界中で異常気象が引き起こされ、投資家心理にも大きな影響を与える。こうした投資家心理への影響に伴い、月齢効果の現れ方にも違いが生じるようだ。本稿では、エルニーニョ発生下において、月齢効果がどのような影響を受けるのか分析した上で、投資成果の向上のための手法を提案する。
101-月齢効果に対するエルニーニョの影響.pdf
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ハロウィン効果に伴う月齢効果の上方シフト
本稿では「月齢効果」に対する「ハロウィン効果」からの影響を分析する。月齢効果とは新月前後の時期に株価が上昇しやすい現象などを指し、ハロウィン効果とは冬の時期の株価は夏の時期に比べて上昇しやすい現象を指す。ハロウィン効果および月齢効果は、いずれも投資家の不安心理の周期的な変化から生じる現象であると考えられるため、両者の影響が重なることでアノマリーは非常に大きくなることが予想される。こうした観点から本稿では、冬季と夏季それぞれの季節に分けたうえで月齢効果を分析した。この結果、冬季の株価騰落率は夏季に比べて全般に高く、月齢効果によるパフォーマンスも上方にシフトすることが確認された。
100‐ハロウィン効果に伴う月齢効果の上方シフト.pdf
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休日明けの月齢効果
本稿では、株式市場で観察される「月齢効果」について曜日による影響を分析する。月齢効果とは新月前後の時期に株価が上昇しやすい、などの月齢局面に着目した一種のアノマリーであるが、休日明けの日にも同様の傾向が見られるのかどうか、確認したい。仮に、株価騰落率に与える要因が月齢局面以外にないのであれば、休日明けの営業日には休日分も累積されたアノマリーが発生するはずである。つまり、新月近辺の時期を考えれば、月曜日のパフォーマンスは他の曜日の3倍程度になってもおかしくない。本稿の分析の結果、休日明けの営業日には月齢効果が大きくなるというわけではないものの、それ以外の営業日とは異なる動きとなることが確認された。
99̠月齢効果の休日からの影響.pdf
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株価トレンドを考慮した月齢効果
株式市場では月齢局面に応じてパフォーマンスに差異が生じる「月齢効果」が存在する。ただ、月齢効果は長期的な傾向としては有効と考えられるものの、2015年に入ってからの日本株式市場では有効性が若干低下しているように見える。2015年の日本株市況の大きな特徴は、年初から8月中旬まで概ね上昇傾向とたどってきたことである。こうした株価トレンドは月齢効果の有効性に影響を与えるのだろうか? 本稿では株価トレンドを考慮に入れた上で月齢効果を分析することで、その有効性向上を試みる。
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新興国為替市況における月齢効果
月齢局面に応じて株価パフォーマンスに差異が生じる「月齢効果」が存在することが株式市場やリート市場で知られている。こうした月齢効果は日本から円ベースで投資を行った場合にも有効であるが、為替市況単独でみた場合にも有効性がみられるのかどうか本稿で確認したい。本稿の分析の結果、為替市場単独で見ても、月齢効果が見られることが判明した。
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株価下落局面における月齢効果の検証
株式市場では、月齢局面に応じて株価パフォーマンスに差異が生じる「月齢効果」の存在が知られている。これは、新月近辺や満月後数日間の株価パフォーマンスがそれ以外の時期に比べて高くなる現象のことである。こうした月齢効果が生じた背景には、暗闇が生じる時間帯の周期変化に伴う夜行性肉食獣からの襲撃危険度の変化が一因となっている可能性がある。この結果、人々の恐怖心にも月齢変化に応じた周期性が生じた。このように月齢効果と我々の恐怖心との間には重大な関係があることから、本稿では投資家の恐怖心に焦点を絞った分析を行う。具体的には、通常よりも投資家が恐怖心に敏感になりやすい株価下落局面において、月齢効果がどのような効果を生んでいるのか、検証していく。
96_株価下落局面における月齢効果の検証.pdf
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夜行性肉食獣への恐怖心理を基にした月齢効果モデルの構築
株式市場では、月齢局面に応じて株価パフォーマンスに差異が生じることが知られている。一般には、満月近辺の株価パフォーマンスが低く、新月近辺の株価パフォーマンスは高いと言われているが、満月後数日間の株価パフォーマンスが高くなるとの報告もある。ただ、そうした株価変動の周期性が生じる原因については依然として合意に至っていない。本稿では、月齢サイクルが生み出す暗闇の周期性に着目し、夜行性肉食獣に対する恐怖心が暗闇の周期性に従って変動するという仮説に立ち、株式市場における月齢効果のモデル化に挑む。本稿で提示したモデルに従えば、満月後数日間および新月近辺数日間の株価パフォーマンスが高くなることは説明可能である。
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月齢効果の原因としてのメラトニン分泌量の周期的変化
月の満ち欠けは、我々の睡眠状態や神経ホルモンの分泌量に影響を与えることで、精神状態にも影響を及ぼす。すなわち、満月近辺には悲観的な心理状態になりやすい反面、新月近辺では楽観的な心理状態になりやすいと言われているが、これはメラトニン分泌量の変化などによっておこされる。そして、精神状態の変化は、間接的に、株式市場にも影響を与え、新月近辺の時期は高い株価パフォーマンスが観察される。ただ、実際には満月近辺の時期も株価パフォーマンスは高くなっているため、こうした傾向を利用できれば、非常に高いリターンが得られる可能性がある。
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内外市場における月齢効果の比較
月の満ち欠けは、我々の精神状態を変化させることで、株式市場にも影響を与える。心理学分野での研究によれば、満月近辺では悲観的な心理状態になりやすい反面、新月近辺は楽観的な心理状態になりやすい。この結果、株式市場では一般に満月近辺のパフォーマンスが悪く、新月近辺のパフォーマンスが高いとされている。しかしながら本稿での分析によれば、満月近辺および新月近辺のいずれも株価パフォーマンスが高くなった。
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株価トレンドと月齢効果
月の満ち欠けが人間の感情に影響を与えることは、太古から指摘されている。株式市場で存在が指摘される「新月効果」は、新月近辺の日に株価が上昇しやすく、満月近辺に下落しやすいという現象を指すが、この原因として、月の満ち欠けによる人間の感情変化が挙げられることが多い。ただ、これまでの分析では単に月齢と株価騰落率との関係を分析したものが多く、他の要因が人間の心理面や株価動向に与える影響を同時に分析したものはほとんど無かった。本研究では月齢に加えて、株価トレンドを同時に分析することで、人間の心理面が株式市況に与える影響を従来以上に精密に分析することを目的とする。
91_株価トレンドと月齢効果.pdf
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エルニーニョの環境下における月齢効果の研究
気象庁によれば、2014年の夏からエルニーニョが発生しているようである。エルニーニョは月の満ち欠けなどと同様に、人間心理に影響を与え、結果として株式市況にも影響を及ぼす可能性がある。たとえば、エルニーニョ現象発生時期とわが国の景気後退局面は、1951 年以降62.6%もの確率で重なっており、この間の株式市況も不冴えな展開であった。エルニーニョは2015年も続く可能性が高いことから、本研究ではエルニーニョが発生する環境下における株式市況についての分析を行う。
86_エルニーニョの下での月齢効果.pdf
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月齢効果における満ち欠けの影響
月の満ち欠けが人間の感情に影響を与えることは、太古から指摘されている。株式市場で存在が指摘される「新月効果」は、新月近辺の日に株価が上昇しやすく、満月近辺に下落しやすいという現象を指すが、この原因として、月の満ち欠けによる人間の感情変化が挙げられることが多い。ただ、これまでの分析では単に“新月近辺”“満月近辺”という形での分析が多く、月が満ちる局面なのか欠ける局面なのかという点にはあまり焦点が当たらなかった。本研究では月の満ち欠けまで考慮した分析を行う。本研究での分析の結果、同じ“満月近辺”であっても、月が満ちる局面と欠ける局面では株価パフォーマンスが大きく異なることが明らかとなった。
85_月齢効果における満ち欠けの影響.pdf
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太陽黒点数および月齢サイクルからみた株価騰落率
われわれ人間は太陽黒点の周期的な変動や月齢サイクルなど地球を取り巻く周期的なサイクルから影響を受けており、間接的に株価変動にも影響を及ぼしているものと考えられる。本研究では、太陽黒点数および月齢サイクルと株価の季節性に焦点を当てた分析を行なった結果、満月近辺の株価パフォーマンスの悪化は、太陽黒点数の減少期に顕著にみられることが判明した。
60_太陽黒点数および月齢からみた株価騰落率.pdf
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月齢効果の季節性に関する考察
月の満ち欠けは人間の感情に影響を与えることは太古から指摘されている。人間の感情が変化することで投資行動にも変化が生じ、結果として、新月近辺の営業日には株価が上昇しやすく、満月近辺には下落しやすくなるという「新月効果」が見られる。こうした新月効果は、他のカレンダー効果とは独立に存在する。そこで、本研究では他のカレンダー効果とあわせて考えた場合、どの時期に投資を行うことが望ましいのかという点について分析を進めた。本研究の分析の結果、ハロウィン効果からは投資が不適切な季節である夏の期間であっても、新月効果との組み合わせで考えれば、投資価値のある時期が存在することが明らかになった。
15_月齢効果の季節性.pdf
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月齢サイクルが株価変動に与える影響
 月の満ち欠けが人間の感情に影響を与えることで、投資家のリスク許容度などが変化し、結果として金融市場のパフォーマンスにも影響を与える可能性がある。さらに、こうした「月齢効果」は他のアノマリーとは独立に存在する。そこで、本研究では、「月齢効果」と他のカレンダー効果を組み合わせることで、高いパフォーマンスの実現を目指す。
9_月齢サイクルが株価変動に与える影響.pdf
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アノマリー研究所

    ( Since 2011.11)

 当面は、カレンダー効果を中心に分析していきます。 

 

 

これまでの分析結果を分野別に編集し、書籍風にまとめてみました。(2016.3)